施工前のお住まいです。
施主様から「古い家で、水廻りや階段など使い勝手が悪い箇所があるので、全面的に手を加えて欲しい」という要望を受けて、お伺いすることになりました。
お伺いしたところ、水廻りや階段の他に、お住まいの傾きも気になるとのお申し出を受け、そちらも合わせて見ることとなりました。
家が傾いてしまう原因は後ほど詳しく説明しますが、お住まいのすぐ近くに川が流れており、川面とお住まいの高さが殆ど同じという
立地条件としてあまりよろしくない状況でした。
当初は、水廻りや内装のリフォームのみ予定だったのですが、お住まいの状態から全体の改修が必要と判断。
施主様に、躯体工事を含めたスケルトンリフォームを提案したところ、了承して頂きました。
右手側に、L型の小さいキッチンが見えますが、今回の工事では、左手に見える柱を撤去し、広く明るいキッチンへ改修します。
典型的なバランス釜のお風呂です。
ご覧の通り、風呂釜が浴室内にあるため浴槽が狭く、給湯能力も低い為使い勝手が悪いです。
また、タイル張りのため結露が発生しやすく、タイル目地から進入した水分の為カビや、基礎部分の破損が見られました。
今回は、最新のユニットバスに変更して、ゆったりくつろげる空間に変えたいと思います。
浴室の中に洗面台があります。
今回はユニットバスを設置するので、この洗面台は無くなる事になります。
昔ながらの真壁作りの家屋です。
真壁とは、簡単に表すと、家を支える柱が目に見える状態の壁のことで、在来工法で作られた家は、概ねこの真壁です。
今回は、真壁を大壁(柱が見えない壁)に変更したいと思いますが、ただ変更するだけでは無く、断熱性、耐久性を考えた壁に変更します。
急勾配で狭い階段です。
今回は勾配を緩やかにして、手すりを付けて安全性を高める工事を行います。
一番初めの写真で触れた、お住まいと川の関係を端的に表す写真がこれです。
床下を200mm程掘っただけで、水が湧き出てきました。
生活で発生する水分に加え、床下からの水蒸気がお住まいの劣化に追い討ちを掛けているような状態です。
これが柱を腐らせ、基礎を腐食させた元凶と思われます。
家が沈下してしまっている主な原因はこれです。
家を支えなければならない柱が意味を成しておりません。
腐ってしまっている部分を全て撤去し、「継」と呼ばれる工法で新しい柱を継ぎ足し、これ以上の沈下が起こらないよう処置いたしました。
過去に床下のリフォームをした形跡がありました。
この金具は、床束(下の部分)と大引き(上の部分)を補強する金具なのですが、湿気で腐ってしまっており、もし地震がきたとしても、本来の機能を発揮できるか怪しい状態です。
また、床一面に敷き詰められている白い小石は、湿気を吸収させる為に撒かれたものですが、先にお見せした、床下から水が湧き出ている写真の状況を考えると、意味がある物とは思えません。
さらに、床下換気扇も取り付けられていたのですが、これだけの水分が噴出する床下に換気扇を取り付けても、その効果は薄いでしょう。
床下から湧き出る水を防ぐには、土壌改善などの大規模な工事が必要になりますが、その分膨大な金額を必要とします。
今回は予算の都合上土壌改善の工事は行えないので、湧き水から発生する水蒸気について対策をとることとしました。
写真の通り防湿シートをかぶせて、立ち上る水蒸気を遮断。
その上から、元々あった吸湿性のある小石を、重しの代わりに敷き詰め、湿気対策としました。
お風呂の解体風景です。
ご覧いただければ分かるとおり、こちらの基礎部分も損傷が著しいです。
破損している基礎部分を補修した上で、今回はサンウェーブの「BRワイド」という高級ユニットバスを設置いたしました。
先に写真でお見せしたバランス釜は無くなり、広い浴槽と浴室を実現しております。
床下、水廻りの施工から、上物の施工に移ります。
ご覧頂いている写真は、耐力合板を貼り付けている様子です。
今回のお住まいは、収納スペースや部屋などが細かく柱で間仕切られていたのですが、大きな空間を確保する為に、それらの柱を取り外して、筋交いを撤去しております。
当然家の耐久性は低下しますので、どこかで補わなければなりません。
そこで登場するのが、この耐力合板です。
家の耐久性を向上させつつ、大きな空間を確保するのにもってこいの建材です。
施工前の説明で触れました、真壁から大壁への仕様変更をしている写真です。
単純に大壁にするのではなく、断熱材を入れております。
先程の写真に、壁を取り付けている状況です。
柱が見えなくなっているのが、見て取れると思います。
窓枠をぐるっと一周している、灰色の建材が見えますでしょうか。
これは発泡ウレタンです。
これにより、透き間風を防止し、お部屋の断熱効果を高めます。
全ての窓について、この発泡ウレタンによる埋め立て処理を行っております。
こちらは天井にOSBボードを取り付けた写真です。
OSBボードとは、広葉樹の木片を圧着させたボードのことで、一枚板の「木目」の風合いとはまた違った、木そのものの趣きある風合いが特徴です。
色はダークブラウンで、落ち着きある雰囲気を醸し出しております。
イナックスの「サティス アステオ」というタンク式のシャワートイレです。
このトイレは、タンク式としては世界最小で、狭いスペースでも広く使うことが出来て、お掃除が楽です。
タンク式のトイレは、流す際には上から下に流れる水の力を利用しておりますので、タンクレス式と比べて消費電力が小さく、経済的です。
施工中の写真で紹介した天井のOSBボードが、色彩にメリハリを生んでおります。
一番の特徴は、施工前の写真を見て頂ければ分かるとおり、写真向かって左手にあった柱を撤去し、一つの大きな空間として、キッチンスペースを生まれ変わらせたことです。
床下収納などの便利な機能はそのままに、広く、明るいキッチンになりました。
収納棚を造作しました。
トイレ、洗面台、お風呂の中心に位置しておりますので、使い勝手がよく水廻り関連の小物を収納するのにもってこいです。
洗面台を隠す為、スクリーンを設置しました。
木の風合いを生かしたキッチンのOSBボードとの調和を考え、藤のスクリーンを採用しております。
このスクリーンもOSBボード同様、お部屋のアクセントとして機能しております。
勾配を緩くして、手すりを付けました。
階段の先端部分には、滑り止めの溝があり、安全性が格段に向上しております。
玄関にも一工夫施しました。
上がり框(あがりかまち)と呼ばれる、玄関から家に入る際の段差が大きかったので、写真のような式台を造作いたしました。
この台は取外し可能で、掃き掃除をする際などには動かすことが出来ます。
また、三角形なので、玄関を広く活用することが出来ます。
リフォーム前のお住まいには無かった、大きいウォークインクローゼットです。
収納力が格段に向上し、使い勝手も良くなりました。
洗面台です。
今回はノーリツの「シャンピーヌS」を採用しました。
施工前写真では、洗面台は浴室の中に設置されていたのですが、使い勝手が悪いということで、新たに配管を通し、旧浴室外部に設置するようにしました。
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